みなさんは、子どもにどのような習い事をさせたいですか?
子どもの習い事、といえば学習塾・英会話教室・水泳・そろばん
などがありますよね。
今回はそろばんの効果や、
そろばんから学んだことについて、
脳科学者の澤口俊之先生の
発言を引用したり、
筆者(おちっぴー)の経験を踏まえつつ、考えていきます。
- 4歳~高校3年生の冬までそろばん教室に通う
- 珠算3段 暗算5段
を取得
(昇段は中3で止まる) - 大学生の時、春休みや夏休みに、地元のそろばん教室の手伝いをしていた。
珠算3段と暗算5段という、中途半端な段位ですが、この段位にいたるまでに
色々経験・成長することができました。
また、大学生の時に子どもたちを
指導するなかで、
そろばんの弱点を
認識することもできました。
以上の筆者の経験を踏まえて、
そろばんの効果や学んだことについて、
筆者なりの考えを、書いていきます。
まず、簡単に結論から述べていきます。
- そろばんを、本気でやれば、その過程で得た経験が、子どもを強くする。
- そろばんは、自分との闘いの習い事なので、他人と競争が苦手な子におすすめしたい。
自分のペースで成功体験を積み重ねることで、自信や
自己肯定感が高まる - そろばんは、直接受験勉強に役立つものではない。
受験勉強を最優先したければ、そろばんに通う時間は、塾に使った方がいい。 - そろばんは、あくまでも計算能力を鍛えるものであるから、
算数・数学の文章問題を解くのに必要な論理的思考力を、別で補う必要がある。
今から書くことは、あくまで筆者の
経験に基づくものですが、
少しでも、そろばんを子どもに
習わせようと考えている方の
参考になればうれしいです。
そろばんの効果とは?その科学的根拠
そろばんが脳にいいという噂
さて、一昔前に「脳トレブーム」なるものがありましたよね。
そのブームと時を同じくして、
そろばんの暗算は、右脳にいい!
とか言われてましたよね。
僕も、当時はその噂を
信じこんでいましたね(笑)
また、このような記事が2020年7月17日に公開されていました。
そろばん学習では、読み上げられる数字をすばやく記憶し、声に出しながら、手を使って珠をはじいていきます。
このように手先の動きと脳を連動させながら行うため、そろばんで右脳が活性化されるといわれるのです。
出典:そろばんに効果はある?ない?中学受験や脳へのメリット(Rakutenスーパーポイントギャラリー) (閲覧日:2021年3月4日)
そろばんが、「右脳」にいいという話は2020年でも言われているようですね。
これは、果たして本当に
言えることでしょうか?
次に、テレビによく出演されている
脳科学者の澤口俊之教授の発言
を引用して、
「そろばん」が「脳にいい」
のかをみていきましょう。
そろばんが脳にいい、という科学的根拠は弱い
「トモエMIアカデミー」という
東京にあるそろばん教室の
ホームページに、脳科学者の
澤口先生の発言があったので、
引用していきます。
まず、「そろばんが脳にいい」
ということについて、
澤口先生は次のように指摘しています。
そろばんを塾で習っている子どもたちは多いです(少なくとも20万人ほどいるそうです)。人気も上がってきています。「記憶力が上がる」「集中力が上がる」といった効果を期待しているせいらしいです。あるいは,「左脳と右脳を鍛えられる」とか「右脳の開発」という言い方に惹かれるためかもしれません。
しかし,このような効果に科学的根拠,つまりエビデンスがほとんどないことはあまり知られていないようです。「左脳と右脳を鍛えられる」とか「右脳の開発」というのは,脳科学的には意味不明ですし,私を含めた多くの脳科学者はこの言い方を聴くだけで「オカルトに近いなぁ」と思う(というか,呆れる)はずです。
出典:澤口俊之教授からのメッセージ(トモエMIアカデミー公式ホームページ)(閲覧日:2021年3月4日)
そろばんには
「記憶力・集中力の向上」、
「右脳・左脳の発達」などの効果
があるといった話は、
「科学的根拠」がほとんどない
ようです。
そろばんの効果に関する研究
一方澤口先生は、そろばんの
科学的研究は少ないと指摘しつつも、
海外の一部の研究成果を紹介しています。
中国での研究は多少あって,そろばん(とくに暗算)が子どもたちのいくつかの脳機能を高めたり脳の構造を良い方向に変えたりすることが示されています。スーダンでの研究もあって,その研究によれば,そろばんを子どもたちに習わすと知能が上がるらしいです。
出典:澤口俊之教授からのメッセージ(トモエMIアカデミー公式ホームページ)(閲覧日:2021年3月4日)
中国の研究では、そろばん、特に暗算が
子どもの脳機能を高めたり、
脳の構造をよくすることが
示されているそうです。
また、スーダンの研究でも、
そろばんが子どもの
知能を向上させることが
示されているようです。
さらに、澤口先生自身も
そろばんの効果について調べたそうです。
それによると
その結果,そろばんを塾で習い始めて間もない子どもたちの一般知能は,そろばん塾に通っていない同年輩の子どもたちと大差ない一方で,習う期間が長くなるほど一般知能がより高くなることを見つけました。そろばんを長く習っている子どもたちと習っていない同年輩の子どもたちの一般知能の差は,平均すると10ポイントもあるので驚きです。
出典:澤口俊之教授からのメッセージ(トモエMIアカデミー公式ホームページ)(閲覧日:2021年3月6日)
・そろばんを長く習うと、一般知能(地頭)が上昇する。
この「そろばんを長く習う」の期間が一体何年なのかは、気になりますが
そろばんには、一般知能を向上させる
効果があるみたいです。
ただ,この研究はまだまだ不十分ですし,国際学術誌に掲載されたわけでもないので,科学的エビデンスとしては(もちろん)弱いです。とはいえ,中国やスーダンでの研究成果を含めて考慮すると,そろばんが「地頭」を良くすることはありそうなことです。
出典:澤口俊之教授からのメッセージ(トモエMIアカデミー公式ホームページ)(閲覧日:2021年3月6日)
澤口先生が述べているように
「そろばんを長く習うと、一般知能が上昇する」という研究の科学的根拠は弱い
ただ、中国・スーダンでの研究や澤口先生の調査を考慮するとそろばんには「地頭」をよくする効果がありそうです。
・そろばんが脳にいいという、決定的な科学根拠はない
・中国、スーダンの研究や、澤 口氏の調査を踏まえると、
そろばんが脳にいい(地頭をよくする)ことは
ありえそう。
澤口先生の話は分かったから、おちっぴー。
あんたの経験を聞かせてくれよ、、、、
前置きが長くなっちゃいましたね(;’∀’)
今から、僕のそろばんに対する考えを書いていきますねー。
僕がそろばんから学んだこと
僕の合格証明書
まず、話に入る前に一応証拠写真を提示しておきますね(笑)
本名と生年月日はモザイクと黒スプレーで隠しましたけど、僕の珠算3段と暗算5段を証明するものです。
僕の中では、中途半端な段位だけど、僕のそろばんに対する努力の証です。
余談だけど、暗算5段をとった時は、全国珠算教育連盟広島県支部の発行物に名前が載ったからうれしかったよ。
そろばんは、僕に色んなことを教えてくれたから、それを今から書いていくね。
そろばんが
僕に教えてくれたもの
話に入る前に、計算力が身についたなんて当たり前すぎるので、詳しくは書きませんね。
- 成功する喜び
自己肯定感を高める
こと - 努力の大切さと、努力を続けることの難しさ
成功する喜びと自己肯定感を高めること
僕は、小さい時から泣き虫で自分に自信のない人間だったけど、そろばんはそんな僕に、初めて自信を持たせてくれました。
そろばんは、他者とではなく、自分と闘う
→自分のペースで、昇級・
昇段できる。
他人と競うのが苦手だった僕には、そろばんはぴったりでした。
昇級・昇段すれば先生や親に褒められて、うれしかった。
成功体験を積み重ねることで、僕は自分に少しずつ自信が持てるようになりました。
また、小学校で僕を馬鹿にしてきた
子たちよりも、僕の方が級が高く、
その子たちに頼まれてそろばんを教えたりしました。
その時は、自分が彼らに認めてもらえてる気がして、自信と共に自己肯定感が高まりました。
僕にとって、そろばん教室は自分の価値を強く感じられる場所だった。
努力の大切さと、努力を続けることの難しさ
そろばんを習っていると、たくさんの壁にぶち当たってきました。
一番の壁は、割り算でしたね。
割り算がうまくできなくて、先生に割り算の宿題プリントをたくさんもらって、家で母と一緒に練習してなんとか
克服しましたね。
そろばんケースには、当時解けなかった
割り算の問題が書いてあって、今でも残してます(笑)
646÷17か、あの時はこれにつまづいてたのか(笑)
段位をとった人間でも、初歩的なレベルにつまづいていた時期もありました。
でも、これを乗り越えて、段位まで到達できたのは、当たり前ですが努力を積み重ねてきたからでした。
しかし、僕が珠算3段、暗算5段より上の段位に到達できなかったのは、努力が足りなかったからでした。
昔、僕はそろばんの先生と
こんなやりとりをしました。
(中学3年生)
先生、そろばんの全国大会にでる子たちは、本当にすごいですよね。
たしかにそうだね。
でも、全国大会にでる子たちと、あなたはあまり変わらないわ。
だけど、たった一つだけ違うところがあるわ。
(中学3年生)
先生、それは何ですか?
それはね、「練習量」よ
僕は、先生にこういわれるまでずっと、
十段をとったり、全国大会に出る選手たちは、自分とは違う、特別な才能を持った選手だと思っていました。
でも、先生からすれば僕と彼らは一緒で、ただ「練習量=努力量」が違うだけでした。
当時の僕は、才能を言い訳にしていたけど、本当に大切なものは、努力を続けられる力なんだよね。きっと。
僕は苦手な種目を除けば、
珠算は6段、暗算は8段に受かるくらいの
力はあったけど、結局昇段することはありませんでした。
高校に入ってから、確かに勉強は忙しくなったけど、もっとそろばんに力を入れれたなと、今では思います。
でも当時は、なかなか昇段しない
そろばんの練習をするのも苦しかったんですよね。
先の見えない努力を続けるのは
とても苦しかったです。
努力できるかできないか
結局この部分が、成功できる人とそうでない人を分ける
のではないでしょうか。
一見すると、当たり前のことですが
そろばんは、このことを
教えてくれました。
この経験は、歴史研究者を目指している
今の自分にとても役立っています。
研究の世界も、才能よりも、やっぱり
努力できる人が一番強い気がします。
小括
そろばんを通して、成功経験だけでなく
挫折経験を味わいました。
前者は、幼い時の僕に自信を与えて
くれました。
そして後者の経験は、
今の自分をとても強く
してくれていると思います。
- そろばんは、努力の大切さと難しさを教えてくれた。
- そろばんでの成功・挫折経験は、今の自分の中で生きている。
そろばんで得た経験は、貴重な財産。
正直いうと、そろばんをやったから頭がよくなったかなんてわからない。
本音をいうと、そんな
ことはあまり気にしていない。
ただ、僕はそろばんでの成功・挫折体験が今の自分の根幹の一つをなしていると思っている。
こういう経験を得ることが、「習い事」や「部活動」の醍醐味じゃないかと、個人的に思う。
そろばんと算数・受験との関係について
そろばんと算数について
おそらく、そろばんを算数教育や、受験に役立てたいと考えている人もいるのではないでしょうか?
数字になれたり、計算能力を向上させる
点においては有効だと思います。
ただし、以下の点は意識しておいて
ください。
このことは、大学生の時、地元のそろばん教室でお手伝いをした時に痛感したね。
地元のそろばん教室では、
算数の時間が設けられていて、
少し桁数の多い文章問題を、
小学生が解いていました。
何人かの小学生の答案をみていたら、
次のような問題点がありました。
- 文章問題の文章の意味を理解していない
- ただ、文中にある数字を、足したり、かけたり、引いたりしている。
これはマズイと思って、小学生に丁寧に
文章問題の解き方を教えたり、
しました。
この時にそろばんだけでは、
文章問題を解くのに必要な、
論理的思考力が養われないなと、
強く感じました。
↑
(そろばんは、ただ目の前の数字を機械的に計算するだけで、そろばんでの計算の理屈などは教えてもらわない。)例外があったら、すみません。
だからこそ、地元の教室では
こういった文章問題を解かせる時間を
設けていたんでしょうね。
このように、そろばんにはカバーできない範囲もあります。
従って、次の二つの歯車を意識する必要
があると思います。
- そろばんで鍛えた
計算力の歯車 - 文章問題を解く
論理的思考力の歯車
この二つの歯車を意識して、うまく
嚙合わせる必要があると思います。
前者の歯車は、そろばん教室で鍛え
後者を、学校や家庭、学習塾などで
鍛えることで、相乗効果が発生する
のではないでしょうか。
そろばんと受験について
最後に、そろばんと受験についてですが。
個人的には、受験勉強最優先なら、そろばんに通わせる時間があったら、学習塾(進学塾)に行かせた方が効率的だと思う。
(ま、僕はいわゆる進学塾にいったことないのですが、、、、)
やはり、そろばんはあくまでも「計算力」を高めるのが主なので、
直接「受験勉強」に役立つとは
僕は思いません。
なので、「受験勉強」のための「習い事」としての「そろばん」は、そんなに魅力的ではないと思います。
まだ、学習塾で「受験戦術」を学んだ方が
「受験勉強」には役立つのでは?
おわりに
僕のそろばんへの思い
以上、長くなりましたが
そろばんの効果や、
そろばんから学んだことを
書きました。
僕の中でそろばんは、今の自分を
作ってくれた習い事なので、
僕と同じように、他人と競争することが
苦手で、自分に自信がない子に
習って欲しいなと思っています。
親御さん・保護者の方に伝えたいこと
もし、お子さんにそろばんを習わせる
のであれば、次の点を意識して
欲しいなと思います。
- 教室の先生や、通っている教室の
雰囲気
やはり、何事も誰に習うかは重要です。
僕自身、いい先生にであえたので
そろばんを好きになり、ある程度まで
昇段することができました。
また、教室には段位取得を目指す子が一定数いたので、その子たちと刺激しあいながら、技術を身に着けることができました。
お子さんの性格や、どこまでのレベルを目指すのかを考慮したうえで、教室選びをするのが重要だと思います。
最後に、そろばんを習い始める時期についてです。
なるべく早い方がいい。
→頭にそろばん方式の計算方法をすり込めるから
僕の兄は、小学校の途中から始めたけど、そろばん式の計算になじめず、そろばんをやめたよ。
ちなみに、兄の出身大学学科は数学科です。
こういった身近な事例からも、そろばんと数学の能力は関係ないと思ってます(笑)。
子どもにそろばんを習わせたら、子どもの反応をよく見てほしいです。
そして、褒めてあげたり、時には励ましてあげてください。
また、子どもがそろばんを本当に嫌がってたら辞めさせてあげてください。
無理やり続けてた子をたくさん見ましたが、よい結果には結びついていませんでした。
以上、本当に長くなりましたが
少しでも参考になっていれば、
うれしいです。
読んでくれて、ありがとうございました。